平均が正規分布に従う正規分布の周辺分布を求める

公開

2024年3月23日

平均θ・分散τ2の正規分布に従う確率変数Yがあり,かつθが平均μ・分散σ2の正規分布に従うとします.

YθN(θ,τ2)p(yθ)=12πτexp[12(yθτ)2]θN(μ,σ2)p(θ)=12πσexp[12(θμσ)2]

このとき,Yの周辺分布は,平均μ・分散σ2+τ2の正規分布に従うことが知られています. この記事では,この性質を導出する過程を備忘録として記載します(実際にはもっとスマートな導出方法があるかもしれません).

YN(μ,σ2+τ2)

Yの周辺確率密度関数p(y)は以下のような積分で求められます.平方完成を用いることで,積分の対象となるp(yθ)p(θ)を以下のように変形できます.

p(y)=p(y,θ)dθ=p(yθ)p(θ)dθ

p(yθ)p(θ)=12πτσexp[12σ2(yθ)2+τ2(θμ)2τ2σ2]=12πτσexp[12(σ2+τ2)θ22(σ2y+τ2μ)θ+(σ2y2+τ2μ2)τ2σ2]=12πτσexp[12(σ2+τ2τσθσ2y+τ2μτσσ2+τ2)212(yμ)2σ2+τ2](θ)=12πτσexp[12(yμσ2+τ2)2]exp[12(θσ2y+τ2μσ2+τ2τσσ2+τ2)2]

p(yθ)p(θ)を積分すると,θに関する正規分布のカーネルの積分が現れます.そのため,積分を正規化係数の逆数で置き換えることができます.最終的に,Yの周辺確率密度関数p(y)が,平均μ・分散σ2+τ2の正規分布に従っていることが導出されます.

p(y)=p(yθ)p(θ)dθ=12πτσexp[12(yμσ2+τ2)2]exp[12(θσ2y+τ2μσ2+τ2τσσ2+τ2)2]dθ=12πτσexp[12(yμσ2+τ2)2]2πτσσ2+τ2(τ2σ2σ2+τ2)=12πσ2+τ2exp[12(yμσ2+τ2)2]YN(μ,σ2+τ2)